そう言うと渓くんは人ごみをかき分けてどこかへ消えてしまった。 私も柚美ちゃんも、いったいなんだろうと目を合わせたけど、渓くんの一人行動はいつものことだし、そんなに気にしなかった。 「お待たせ」 渓くんの声がして、顔を上げると…… ……!??? 私はまぼろしを見たと思った。 あまり見ていなかったけど、柚美ちゃんもきっとそうだったと思う。 ……振り向いたその先には、まぎれもない、祐がいた。