午前0時、夜空の下で。 ―Short Story―

アクセス家の別荘に連れてきた使用人は、それほど多くはない。

ただ、華やかで洗練されたカザリナは、貴族社会の流行を先取っているところがあり、別荘に移った今でも彼女を訪ねる者は多かった。

「大人数での来客でしょうか? ちょっと見てきますね」

首を傾げたメイジーが、扉に近づこうとした瞬間。

「お、お嬢さまあぁぁ!! クロスリード様がいらっしゃいましたあぁぁ!!!!」

「よかったですね……! よかったですねお嬢様!」

咽び泣く使用人たちに囲まれて、苦笑したクロスリードが現れた。

これ以上ないほどの歓待に、カザリナは気を失いそうになる。

「随分と、寂しい思いをさせてしまったようですね」

主人を激励して使用人たちが去っていくと、「申し訳ありません」とクロスリードは謝った。