午前0時、夜空の下で。 ―Short Story―

「お手紙、またこちらから送ってみてはいかがですか?」

お茶を入れたメイジーが、微笑みながら手紙の束を整える。

「……つい先日も、そう言って送ってしまったでしょう? お忙しいのに、あまりしつこい真似をしたくないわ」

前回届いた手紙には、夜族に殺害を依頼したと書かれていた。

夜族と言えば魔王に次ぐ高貴なる一族だ。

魔界に害を与えるものを粛正する、影の王とも呼ばれる一族。

事態はそこまで緊迫しているのだ。

それほど忙しいクロスリードの手を、煩わせることなどできるはずもなく、手紙で身体を気遣うのが精いっぱいだ。



静かに落ち込んでいたカザリナだったが、扉の外の妙な騒がしさに気づき顔を上げる。

「どうしたのかしら……騒がしいわね」