ルカレイン家前代当主は彼を養子として引き取り、当主の座に据えている。

カザリナを含め魔族たちにとって、次代魔王の最有力候補と目されていた妃月は、ルカレイン家にいた頃から畏れ多い存在であり、高名な貴族であろうとほとんど話をすることは叶わなかった。

一方でクロスリードは、アクセス家と並ぶ名門貴族の後継であり、カザリナと親しい付き合いをしてきた。

両家ともはっきりとは言わないが、このままカザリナが妃月に召し上げられることがなければ、近いうちにクロスリードと婚約を交わすだろう。

妃月に愛されないのは寂しいが、兄のように慕っているクロスリードに嫁げるのだと、カザリナは嬉しく思っていた。



「どうしても、あの女を殺さなければならない」