朝、ズキズキと痛む頭で目が覚めた。
昨日、叔父にでも強制的に未成年飲酒法を犯されてしまったのだろうか。
思いだそうとすると脳が一面雪に覆われてしまったかのように真っ白になる。新潟並みの豪雪である。

「……まあ、うん、酒飲んだくらいで死にゃあしねえだろ」

健康に害があったとしてもいつもの夜更かしの時点で害はある。今更だ。

時間を確かめるため、携帯の電源を入れた。
『5:47』の白い文字。なんだ、早朝じゃないか。二度寝できる。

私は布団を頭まで被ってもう1度深い眠りに落ちようとした、しかし、その時、黄ばんだ障子がスパーンと小気味よく開いたのであった。

「おっはよー! つっちゃん! まだ寝とる?」
「……起きてます」
「ほんまか!? よかった、もうこのまま起きへんかと思たあ」
「……?」

何を言ってるんだ、まるで私がずっと眠っていたかのような言い方ではないか。
生憎、夜更かしはするが、私は早起きする方で遅い時間に起きたことも一日中寝ていたこともない。

なのに、何を言っているんだ、朔は。

「つっちゃん、四日も起きなかったんやで?」
「──は?」

朔の言葉に慌てて、携帯の画面をもう一度見る。
『5:47』のしたに小さく『12月29日』とある。
……朔の言ったことは本当らしい。

「説明を──いや、やっぱりいらない」
「なんでや?」
「どうせ、私が二十五日の朝に寝起きで廊下歩いてたら、樹里亜におもちゃを頭にぶん投げなれて倒れたとかそういうオチだろ」

樹里亜は従兄弟の一人だ。小学生で、可愛らしいプラスチック製のおもちゃをたくさん持っている。
そして、それをよく私に投げてくる。
まあ、さすがに頭に命中とか、それで四日も寝込むとかはないか。

「なんでわかるん!?」
「マジかよ」

冗談で言ったのに。当たるのかよ。
何なんだよ、この家の住人は私の予想を外れるような行動をしないのかよ。みんなテンプレしかしない阿呆かよ。今どき鳩の方がもっと頭いいぞ。

「まあ、兎も角にも目え覚めてよかったやん!」
「知らない人たちにただひたすらに謝ってる夢見た」
「うわ、なんやねん、その夢。わけわからんわ……」
「私にもわかんねえよ」

なんだったんだ、あの夢……。