「ずっと言えなかったけど、私たくみのこと好きなんだ。」


「俺も好きだよ。」


私奈那(なな)は人生初、好きな人に告白しました。


電話でいうのはとても勇気が必要で、耳元で声が聞こえてとても緊張した。


けど、まさかの結果オーライ!OKの返事だった。


彼、早川 たくみとの電話は1時間も続いた。


けど、たくみの携帯の充電が切れて電話が切れてしまった。


「ごめん。充電切れちゃった笑 また電話しようね。」


そんなLINEがきて、私はニヤニヤしてしまった。


「うん、大丈夫!また電話しようね。」


すごく嬉しかった私は、胸がウキウキしていたため眠りにつくのも遅かった。


in school for April


「おはよう!里緒菜(りおな)!告白成功だよ〜」


私は顔の横でVサインをつくった。


「え〜!奈那頑張ったやん!」


目に涙を浮かべながら、彼女佐藤 里緒菜はとても喜んでくれた。


「どうやって言ったの?」


昨日言うまでの告白の流れや言葉を里緒菜に話した。


「うっわぁ〜。奈那やるじゃん。」


口元をニヤリとさせて、里緒菜は私の肩を肘でつつく。


里緒菜より、私のニヤケ具合は止まらなかった。


中学から片思いしてる相手に、高1になってやっと思いを伝えられたのである。


けれど、付き合ったからとはいえ良い事ばかりじゃなかった。



■■■


「えぇ、今日もだめなん?」


「うん、ごめんね。」


たくみは遊ぶ約束をしてもよくドタキャンしてきた。


この前約束した時は、カーディガンを買うと断られた。


今日は委員会があるらしく断られてしまった。


当日になっていうかよ〜涙



■■■


「今日は大丈夫?」


「うん、駅前で待ち合わせよ」


やっと、遊べる。楽しみだなぁ。


学校が終わって私は走って、駅に向かった。


「まだ、たくみはいないか!」


気分はもうあがりっぱ。


にこにこしながら駅でたくみをまった。


けど、たくみはこなかった。


電話をしてもでなかった。



▲▲▲



夜になって連絡が来た。


「今日は、本当にごめん。
学校休んでて連絡出来なかった。」


「ううん、全然大丈夫!!また今度遊ぼうね!」


無理やり明るい雰囲気のLINEの返信をした。


本当は悲しかった。


連絡ぐらい欲しかった。


もっとはやくLINEしてほしかった。


けど、そんなわがままいう暇も私達にはなかった。



■■■

ポヨーン♪


いきなり部活の帰りにLINEがきた。


誰だろう?


携帯の電源をつけて確認してみた。


たくみ : ごめん、別れよう。


「…?」


いきなりすぎて、言葉もでなかった。


けど、別れたくない気持ちで胸がいっぱいですぐ返信をした。


奈那 : え、どうしたの?


たくみ : ごめん。


奈那 : なんで謝るの?理由聞いてるだけだよ?


たくみ : ほんとにごめん。


理由を言ってこないたくみにすごい不安を感じた。


なんでこんなに謝ってくるのかな…(汗)


奈那 : そんな謝らないでよ笑 理由聞いてるだけだよ、どうしたの?



既読



既読の文字はついているのに、返信は来なかった。


気づいた時には、涙が溢れて止まらなかった。


重い足取りのまま、子供のように泣きじゃくりながら歩いて帰った。


気づいたら、LINEのタイムラインも見れず、Twitterもブロックされているという表示。


「こんなに、連絡断ち切られるのかよ。」


鼻で笑った。


自分の情けなさに、鼻で笑うことしか出来なかった。




■■■



in class room


重い足取りをつきながら教室に入る。


「奈那…?」


里緒菜が私の顔を覗き込んできた。


「あ、里緒菜!おはよう〜」


いつも通り、明るい挨拶をした。


「目腫れてる。なんかあったんでしょ。」


「もー!なんもないけど、どうしたの?」


張り付いたような笑顔が私の顔に浮かぶ。


「なんかあったよ。いつもと違うよ。話してよ。頼ってよ。」


里緒菜は悲しそうな目で私を見てきた。


「…っ」


言葉に詰まる。


「奈那…、心配だよ。」


「…っ、り…おなぁ」


私は教室で涙が溢れ出てきてしまった。


里緒菜は、私の手を引いて屋上に連れてってくれた。


■■■

「奈那、我慢しないで。泣いていいよ。」


里緒菜は優しく頭を撫でてくれた。


「…っ、うっ…くっ」


こらえようと思っても涙が止まらなかった。


「里緒菜、私別れた…うっ、ふら、れちゃったよ。」


「ゆっくりでいいから、無理しないでよ。」


涙があふれて、止まらない私の背中を里緒菜はずっとさすってくれた。


私は言葉に詰まりつつ里緒菜に別れたことを細かく話した。


「辛かったね。頑張ったね。」


里緒菜が優しい笑顔で言ってくれた。


その瞬間、胸に突っかかっていた何かが出てくるかのように。


涙が溢れてきた。


溢れて溢れて止まらなかった。



■■■



何ヶ月かたった6月頃のこと。


ポヨーン♪


誰かからLINEがきた。


「こんな時間に誰?」


もう夜中の2時過ぎというのにLINEが来たのだった。


たくみ: ごめんね。


そこには、たくみと名前が書いてあった。


え、嘘じゃないよね。って何度も名前を読み直した。


そこには、たくみってしっかり書いてあった。


「たくみからLINEが来た!!!!」


思わず口に出してしまうほど、嬉しくて笑顔が溢れて止まらなかった。


「全然大丈夫だよ」 送信


辛かった事は隠して、明るい返信をした。


たくみ: ほんとにごめんね。


奈那: 大丈夫だよ〜!謝らないで!


たくみ: わかった ありがと


やっと、たくみと話せるようになった。


どうして話しかけてくれたのか、たくさん気になることはあった。


けど、ひとつだけ聞くことにした。


大事な大事な事。


奈那: なんで別れようなんて言ったの?


私が一番泣いた理由は、理由を教えてくれなかった事。


理由を聞けば、諦められたのかもしれない。


諦められなくても知りたかった。


一気に返信は遅くなった。


何時間か経った時。


たくみ: あったときにいう


ん?なんで会った時なの?


奈那 : 今じゃダメなの?


たくみ: 会って言わないとだめ


会わないと言えない理由はよくわからなかった。


けど、会えるし理由聞けるしなんでもいい。


単純な私は、そう思ったのであった。




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in summer vacation forAugust

「やっと夏休みだぁ〜!!!!」


大きな伸びをして、朝を起きる。


たくみと遊べたりしないかな。


そんな甘い事を考えてしまう。


あ、けどその前に部活の合宿だ。


私は軽音部に所属していて、ドラムをやっている。


千葉に行き、2泊3日してその2日間の練習で曲を完成させる。


難しい事だけどすごく楽しみだ。


1年の私は初めてでめっちゃ緊張してるけど、頑張ろうと思っている。


なら、たくみに会えるの厳しいかな。


あ、けどいいこと思い付いちゃった。


すぐさま、LINEを開く。


たくみとのLINEのトークを開く。


奈那: ピアスおそろいしない?


たくみは片耳ぴあすを開けている。


けど、私は怖くて開けられてない。


たくみがおそろいしてくれるなら開けてやる〜(涙)


ポヨーン♪


たくみ: いいよ! どんなのにしたい?


うっひゃあ〜。やったぁ。


嬉しくて携帯の画面をずっと眺める。


奈那: リングがいいな〜。


これは合宿の時開けるしかないかな?(笑)


約束したからには開けるぞ。