「ん…、」
「かよちゃん…、かよちゃん」
「ん、集くんもう少しだけ……っ?!」


集くんじゃない。だって集くんはもう別れたから…じゃあ、

かっと目を開くとそこは全く見覚えのない天井で。
私の顔を覗き込んでいるのは、もう二度と会いたくなかった彼だった。


「き、木村くん…?」
「うん、かよちゃん倒れちゃったから、申し訳ないけど俺の部屋連れてきた」

ああ、やってしまった…よりによってなんで木村くん。
まっすぐ見てくる瞳に返してあげることは出来なかった。

「…離れて…欲しい」
「あっ、ごめ、近すぎたよね」

慌てて離れる彼は少し顔を赤くしていて、あの日を思い出して眉間に力が入った。

「運んでくれてありがとう、帰る…」
「ちょっ、まっ。ふ、服!!今乾燥機掛けてるからちょっと待って!!」


………?!
そう言えば私は土砂降りの中オフィススタイルでいたはず。
なぜ今……?!


「ご、ごめんね、勝手に着替えさせて貰いました」
「あ、あー、そうなんだ…、ありがとう」
「だ、大丈夫だよ!着替えさせたの俺じゃないから!!!」