「始の恋は、実るといいね」
窓の外を眺めながら呟いた言葉は、嘘だ。
本心になってしまえばいいと願っている嘘。
実らないってずっと前からわかってるこの恋を、捨ててしまいたいのに。
キミの幸せを心から願えるようになりたいのに。
まだいじましくキミのことを見つめ続けてしまうのは、きっとこの片想いが辛いだけじゃないから。
キミの笑顔が眩しいから。
キミの言葉が明るいから。
キミの手が優しいから。
キミといられるだけで、泣きたいことがいくつも乗り越えられてしまうから。
キミのことが大好きだから。
この恋が、辛くてもきっと幸せだから。