そんなことが言えるわけも無く、私は曖昧に誤魔化して、笑顔を作ってみせる。
「それより、アンタの好きな人はどうなのよ」
ニンマリと、必死にやじ馬っぽく作った笑顔を見た始が投げやりな表情になった。
「どうやらまた新しい恋をしたようだぞ…」
「あらあ…」
まるでやけ酒でも呑みにいってしまいそうな態度に私も苦笑するしかない。
心の中ではひっそり嬉しかったりすることはひた隠しにして。
「しかも相手はまたどこぞの馬の骨ともしれないやつだとよ」
「それはそれは…。始も苦労するね」
「ほんとだよ」
私が嘘の片想いをする理由。
それは、始の好きな人だ。
