「はぁ…」

私─八田楓─は窓の外を眺めながら深いため息をついた。

窓の外に広がる空は抜けんばかりの青空で、つい3日前に返された中間テストの結果も良好、友達だっていい子ばかり。

そんな私を悩ませるのは、いつだって、そう、片想いだ。

片想い。片方が想うと書くそれはまさにその字のごとく。

私だけが彼を好きなこの状況は、時に私を悩ませ、でも時に、私を幸せにさせる。

なんて罪なヤツだ。

私は頭の中に悩みの原因を思い浮かべて口を尖らせた。

「よ、楓。まーたそんな顔して。例のお悩みですか」

頭の上からそんな声が降ってくるのと同時に顔の前でパチンっと軽く手の鳴る音。

私は緩みそうになった頬を慌てて引きしめた。