私は、手を離した先輩に笑顔を向けた。 「あんな痛み、へっちゃらですよ。 バスケが出来なくなった時の心の痛みに比べたら、全然たいしたことないです!」 私がそう言えば、先輩は一瞬、目を見開く。 そして、少し考える素振りを見せると、真剣な顔で私を見つめて言った。 「椎名、明日退院だったよな?」 突然何を言うかと思えば…。