「そんなこと…」 「なんで俺の手を引いたんだ?」 ずいっと私に詰め寄ってくる先輩。 私はうぅーん、と少し考えてから口を開いた。 「別に助けようと思ったわけじゃないんですよ?」 「は…?」 「あ、いや、正確には、助けようと思う前に手が出ていたんです。 先輩が落ちると思ったら、自然と手を伸ばしていたんですよ」