゙ドクン゙


また一つ、大きく鳴る心臓の音。


古い記憶が、蘇る。


俺はやっとの思いで一言、口に出した。


「…出ないよ」


それを聞いて、少し悲しそうな顔をする勇人。


「そっか」


でも、それも一瞬。


次の瞬間にはいつもの笑顔で、


「じゃー、俺がバスケやろっかな!」


なんてことを言った。


「は?」


まさかそんなことを言うとは思わず、俺は勇人の顔を見る。


「なんでそんな意外そうな顔すんだよ。
俺だって運動神経いいんだからな。
バスケだって絶対に勝てる!」


自信満々の笑みでそう宣言する勇人に、思わず笑みが零れた。


「おー。応援する」