「なんなんですか! 私はハル先輩と話すことなんてありません!」 強い拒絶を見せる椎名に、俺は大きな声でいつか呼んでいた名前を呼んだ。 「アオ……っ!」 「……え」 椎名は俺の言葉に驚いて、ドアを掴んでいた力を弱める。 「なんで……」 「思い出したんだ…、小さかった頃のこと、全部」 俺がそう言えば、椎名は数秒止まった後、静かに俺を招き入れた。 「どうぞ、入って下さい…」