「今は花火なんてどーでもいいんです!!
なんで、急にあんなことしたんですか!
私、ドキドキし過ぎて心臓が壊れそうです!
ちゃんと説明を…────゙ドンッ゙」


その時、大きな音と共に、夜空を鮮やかな花火が色付けた。


「お、始まった。綺麗だな」


笑顔で空を仰ぐ先輩に、私は花火に負けないくらい大きな声を出す。


「ハル先輩っ…!!」


「ん?折角来たんだから、ちゃんと花火見ろよ」


先輩は私の方を見てそう言うと、また空を仰いでしまう。


「…今はっ、花火どころじゃないんです────!!」


私の声は、夜空に上がる花火にかき消されてしまったのだった───。