「花音ちゃん、今日は来てくれて嬉しいよ。」 俺は柔らかな笑みを浮かべる。 「幸人さん、もしかして、今日お誕生日だったんですか?」 バッグをソファに置きながら、俺の方をまっすぐ向く。 「うん。 今日お祝いして欲しくて、花音ちゃん呼んだ。」 照れ笑いする。 俺はあの日、おっさんから花音ちゃんを助けた後、お礼をしたいという彼女に、今日お店に来て欲しいとお願いした。 あの時、このまま終わりたくないと思った俺がいた。