「じゃあ、気をつけて帰りなさい」 それだけ言うと先生は去っていった。 「なあ」 すっかり元気をなくした後ろ姿に声をかけると、 びくっと肩が上がる。 そして、ゆっくり振り返る。 「見てたの?」 「わざとじゃない」 「まあ、いいけど…」 独り言のようにつぶやいて歩き始めた。 「先生と付き合ってんのか?」 「だったら何?」 聞いたことないくらいの冷たい声。