怒っているような、悲しいような表情


「拓哉くん、最低だよ……」



最低か……

俺は単純に好きな人と両想いになりたかっただけなのに…

どうして、こんなことになったんだろう


「殴っちゃってごめんね…」


何も言わず立っていると今度は俺のほほに優しくキスをした。



「帰ろう?」



手を差し伸べてくれた。

こんな俺に。ついさっき最低だと言われたばかりなのに…



やっぱり麻耶が、好きだ…


けど、


「麻耶はやっぱり先生が好き?」


「え……うん…」



好きな人を思っている麻耶の顔は女の顔で、
俺には決して向けられることのない顔だった。