悟の口から出た言葉が信じられない。



ずっとダッシュし続けていた足が、止まってしまった。



いきなり止まって、足の親指が痛い。




当然、悟には追いつかれる。




「ハァ、ハァ、やっと、止まった...」



止まってもまだ、荒い呼吸をしている悟。



「なん...で、言ってんのに止まらないんだよ...、


って、泣いるの!?」



間抜けな声で、驚かないでよ、



バカ。




「だっ...て、名前、で...」



涙が止まらない。



あたしだって驚いてる。



なんであんたの事になると、あたしはこんなに不安定になるの。



ときめいて、怒って、泣いて。



可愛い顔が、台無し。



「なんだ...そんな事か...」



ホッとしたような、でも、いつもどおりすぎる、呆れたような言い方に、何かが切れた。




「うるさい!馬鹿!


走ってるあたしに追いつけないくせに!


大してかっこよくもないくせに!


あたしより勉強出来ないくせに!



...こんなふうに追いかけてきたって、


私の事を好きにならないくせに!!!」




「君のことを好きじゃないなんて、1回も言ってないだろ!!」