『もしもし、莉奈ぁー?』


「……っ!」



電話から、声が聞こえて莉奈が反射的に口元を押さえた。

その手を強引に掴み両手を頭の上で拘束する。

ペロリと耳を舐めると、莉奈がビクッと震えた。


「ダメだよ。
ちゃんと話さないと」


耳元で囁くと目に涙を浮かべながら、


「ひど…っ」


と莉奈が消えそうな泣き声を漏らす。



……あぁ、煽られる。

そういうの。


俺、オマエの泣き顔死ぬほど好きだ。


……そうだ。

だって俺はオマエに噛みつきたかったんだ、ずっと。


血を出すぐらい、痛め付けて傷つけて、真綿でくるむように愛したかった。


兄妹なんかじゃなくて、そんな出会いじゃなくて、普通の、もっと普通にオマエを甘やかしてやりたかったんだ……。