ぐちゃぐちゃした感情にかき乱される。 大事にしたい。 可愛がりたい。 欲のままにしたい。 痛め付けたい。 ―――犯したい。 バランスゲームみたいに綱渡り状態で、微妙な均衡を崩されてしまったら、もう右か左かどちらかに落ちるしかない。 右に落ちたい理性と。 左に落ちたい動物的衝動。 その狭間が一番苦しい。 こんなの、こんな感情きっと男にしかわからない。 無論、莉奈にも。 でも……、こんなに耐えているのに、無情にも軽快な音楽を奏でるのは、莉奈の携帯だった。