ずっと、ずっと聞きたかった、甘い声。

ずっと、ずっと見たかった、女の子の顔。


「やっ…、おにい……」


一つ、一つボタンを外せば、莉菜が変わっていく。


そうだよ。

今までだって、そうやってきたんだ。


相手、莉菜じゃん。

俺の、夢じゃん。


もう未来なんて何もないならいっそ、全部……


「やだぁっ…!
おにいちゃん、やめてっ……!」


……抵抗できない、弱い莉菜。

きっと今いる彼氏だって、こんな風に組み敷いたらあっというまだ。


この香りに酔わされて、ベッドの上に座ったらそれが最後。

他の男のものになってしまうんだ。


……だから、いいんだ。

これで……



「やだっ…お願いっ……」





いいのに。

それで、いいのに。



俺の莉菜を拘束する手は、まるで自然現象みたいに弱まっていって、するりと外れた。