「なっ……、お兄ちゃんじゃないんだよ!?
バカじゃないの!!
お兄ちゃん、ホントそういうことしか考えてないんだ!」
「男は女と付き合うって言ったらそればっかだよ。
デートなんて二の次なんだよ。
そんな淡い発想じゃねぇ」
「ホントバカだね、お兄ちゃん!!」
イライラをぶつけるように莉菜はギュッとエプロンの紐を背中で締める。
服で隠れた胸の存在が強調される。
もう理性なんてとっくに壊れていた。
……いや、壊した。自分から。
「キスはしたわけ?」
「はっ!!??」
「舌は?入れたの?」
「……っそ、そんなこと」
イライラする。
「す、するわけないじゃん!」
「じゃー、練習しとく?」
ぐっと腰を引き寄せる。
結んでいた髪をパラリとほどいて、噛みついたのは俺が何年も我慢してきた、他の男のものになっている唇だった。
