ピピピピ……ピピピピ……

ーーもう朝か……また仕事か……

目覚まし時計を不機嫌に止め体を起こすヒロ。
「行くか……」

………………
…………
……

この時、ヒロにとって最も長い1日になるとはまだ夢にも思っていなかった。
それは昼に近づくに連れて迫ってきていた。

「おはよ……ねみぃ」
「あはは三島くんまた夜更かししてたんでしょ~」

「してないよ。おばちゃん達はいつも何時に寝てんだよ……」
「起きててもやることないからね9時には寝てるよ」
「はやっ……まぁ仕事は仕事できっちりやるよ」

「その意気だヒロ。今日も頼むぞ」
「店長!?いつの間に……」

午前をなんとか乗りきったヒロ……その時……

「きゃあああ!!!」
「何だ!?悲鳴?」

バララララ……
「静かにしろ!!全員両手を挙げてこっちに来い。変な気は起こすなよ……この店は俺たちが占拠した」

マシンガンを持った大柄な男を中心に10人ほどの男達が5階あるフロアに散らばっていった。

ーーやれやれ……今日は厄日かよ。強盗に占拠されるとはな……

ヒロも銃を構える男に促され大柄な男の前に座らされた。
「三島くんっ!」
「倫子……大丈夫か?」
「怖いよ……」

ーー客、従業員全部捕まったか…………

「俺たちの目的は金だ。この店にある全ての金を出してもらおう」

「ヒロ……どうしよう」

ーーおいおい店長……ダメだな。この場合どうすれば……
「よし、俺が」

「三島くんっ危ないよ」
「大丈夫だ。俺に任せろ」

ヒロは一人立ち上がり一斉に銃口が向けられる。
「待て待て…………」