退院したヒロは徐々に体を動かし始めた。今日は公園に散歩に来ていた。
この公園、倫子と花火をやった場所だが、覚えているはずもない。

「体力が落ちてきてる……ずっと病院で寝てたから。早くおもいっきり動きたいな」

公園には若い母親が小さい子どもとブランコで遊んでるのが見えた。
すると母親が驚いた顔でヒロに近寄ってきた。

「三島さん!?」
「君は…………」

「藤田 優子です。覚えてないですよね。一緒のお店で働いていたんですけど……」
「ごめん……」

身長は小さく、幼顔で少しふっくらとした体型の優子。年齢はヒロの2つ下の22歳で、2歳の子持ち。しかし、優子自身、旦那の浮気が原因で離婚、バツイチである。

「良かった……退院したんですね。すっごく心配してました。ナミ、こっちおいで」
「ママ……ママ……」

小さな女の子が優子の膝の上に座りヒロの方を見ていた。
「可愛いね。ナミちゃんって言うんだ」

「パパぁ♪」
「えっパパ!?」
「違うでしょ~ママと一緒にお仕事してる人」

「パパ、パパ、ブランコ♪」
「パパなんだね……よし、ナミちゃんブランコ行こうか」
「ごめんなさい」