「そうよ。堂島沙良だよ。…遠藤君。」

私も名前を呼ぶと、遠藤君も驚いた顔をした。

「名札。見てるから。」

「あ、そっか。」

「なんか、名前呼ばれるとテレるや。」

私がそう言うと、俺も。と遠藤君。

「遠藤君はこれから寝るの?学生さん?」

話題をかえてみたら

「寝ます。…フリーターなんで、昼間はなんもしてないです。」

ちょっと気まずそうに答えが帰ってきた。

「うん。だと思った。でないと夜働くのきついよね。」

彼は、分かってて聞くんすか。とすねたように呟いた。

遠藤君は私よりひとつ年下の24歳だという。

あのコンビニでは一年半ほど働いているらしい。

たくさん話していると、すぐにアパートの前にたどり着いてしまった。

「あの、うちここ。」

指差しながらそう言うと

「マジに近いですね。そりゃよく来てくれる訳だ。」

「うん。いつもお世話になってマス。これからもよろしくね?」

上目遣いにふざけてそう言うと、遠藤君も笑ってくれる。

「何階ですか?」

「え。3階だけど。こ、ここまでで良いよ!」

「でも…。」

「いいから!まだ部屋で寝てるのいるし。」

そう言うと彼は真顔になり、私の顔をじっと見つめた。

なんだ?