彼女が窓側の席からグラウンドを見続けてどのくらい月日がたったことだろうか。

日が沈むのも早くなってきたある日、ついに彼女は、彼に自分の思いを伝えに行くことにした。
でも、彼女は自分の口で思いを伝えることが出来ないから、靴箱に手紙を入れてその日は、横目で少し彼を見つめて帰ってしまった。彼に手紙を見られた後に、学校でもしかしたら会ってしまうかもしれないと思うと恥ずかしくてくてたまらなかったからだ。






しかし、彼から手紙の返事が来ることはなかった。


あの日彼女が横目で見た、サッカーボールを頭にのせて輝くように笑っている姿が彼の最後の姿となってしまった。


あの日彼は、部活の帰り道で、飲酒運転の車に轢かれて亡くなってしまった。手には彼女の手紙をしっかり握りしめていたそうだ。