「あさひちゃん!」

名前を呼ばれ、振り向くとアイツがいた。

「…何?」

本当はもっと笑顔でいたいのに、好きだからアイツの目をちゃんと見て話したいのに。
無愛想な返事になってしまう。

「あさひちゃん、あのね、美琴が3人で出かけたいんだって。行かない?」

美琴はひろとの彼女だ。小学校の卒業式に美琴から告って、それから付き合っている。

「ばーか。」

「えっ?」

「あんたと美琴は付き合ってるんだよ?デートは2人で行かなきゃ、ダメだよ。」

「別に僕はそんなこと…。それに、あさひちゃんは幼馴染だから…。」

「そんなことじゃないの!とにかく行かないから!」

アイツは、何もわかってない。彼女とせっかく出掛けられるのにどうして私を誘うの?

2人でいいじゃない。私はただの幼馴染だから?

「意味分かんない…。彼女は特別なのに…。」

私は、なりたくてもなれないのに。