私はまだ濡れる頬を、拭いて歩き出した。やつも歩き出す。私とやつとの距離は、バスケットボール1個分。

だけど、やつはボールを反対の手で持ち、更に距離を詰めてきた。


「近いっての」


──私たちも傍からみれば恋人同士なのかな?