「君は恋しちゃいけないよ」



そう言われ続けて18年。


私がお嬢様だからとかではなく。


小さいころから持病を持っていたからだ。


いつ悪化してもおかしくない。


だから、恋なんてしているだけで苦しいってことだ。


まぁ、私も別にしなくてもいいと思っている。


恋をしないだけで親を安心させることができるならそれでいいんだ。

そう思っていたのに、私は好きな人ができてしまった。


「都せんぱい！」

「あ、京君。」


いっこしたの暗樹京くん。

私の好きな人。


「先輩、大丈夫ですか！？」

「え、あれ...。」


眩暈がしてくる。

暑いからだろうか。

蝉の声が良く聞こえる。

それよりも後輩君の声が良く聞こえる。