29日。



私は〇〇駅にきていた。



行くか迷ったけど、最後を会わなかったら、後悔する気がして。





『蒼くん…いた。』


遠くからでもすぐわかる。


私の、好きな人。





『お。きたか。さぁ、行くか。』


『うん。』



駅のホームには、私たち以外に数人しかいなかった。



『蒼くん、〇〇大学合格おめでとう。ずっと言えてなかったから。』


『おう、ありがとう。超頑張ったんだぜー。受かってよかったよ、ほんとに。』




蒼くんの笑顔。

久しぶりに見たなぁ。




『あ、もう来た、新幹線。あー、これ。』



蒼くんが手を出す。


『お前、今日誕生日だろ?誕プレ。大事にしろよ?』


『え、覚えてたの…?』



くれたのは、シンプルなネックレス。



だめだよ、そういうとこが好きで。


『じゃ、見送りありがと。俺もう行くわ。またな。』



もう、これで会えなくなる。


もしかしたら最後かもしれない。



『蒼っ!!!私、ずっと、蒼のこと!!』


蒼くんが振り返る。

振られたら、もう会えないのかな。

振られたら、次こそ疎遠かな。




ーーーーーそんなのやだよ。





『ずっと…友達だよ。蒼くんありがとう。またね。』


一瞬、蒼くんが泣きそうな顔をした。


『やっぱ、お前はお前だな。またな、アオ』




やめてよ、なんで、私の名前なんか呼ぶの。



アオ、西崎アオ。


あなたと同じ名前。




いつも呼ばないくせに。





ガサっ。



貰ったプレゼントの中に、ネックレス以外にもう1枚、紙が入っていた。