卒業式。
受験も全部終わった。
蒼くんには、あの日以来、また話す頻度を下げた。
私が、どうしていいか、わからなかったから。
蒼くんを見ると好きな気持ちが溢れるから。
告白しようと思っていた。
そう、本当は今日しようと思っていた。
でも、蒼くんにしたって、蒼くんは遠くへ行く。
私を置いていく。
『おい、』
蒼くんは私のことを忘れていくんだろうな。
『おい、アホ。』
頭を叩かれる。
そこには、袴姿の蒼くんがいた。
私の学校は袴で卒業式をする。
『蒼くん…。』
『これ、俺が引っ越す日。見送り、来いよ。』
『…。行けたら。』
私は蒼くんから紙をうけとる。
゛3月29日 、〇〇駅 ゛
蒼くんはそれだけ渡すと、他の友達のところを言ってしまった。

