『前髪よし、リップよし。』



これから勉強会する。

蒼くんに変なところを見られないように、念入りにチェックして、教室に向かう。




ガラッ。



『あーおくん!!』


『おう。』


『テンション低っ!さぁー勉強教えて!』



私はガタガタッと机をくっつける。



『蒼くん、ここ教えて。』


精一杯近づいて、あからさまに媚びる。



気づけばいい。私が好きなこと。

気づいて、意識して、


私を好きになればいいのに。



そんな願いをこめて。



『お前さぁ、近づきすぎ。アホかっ。』



『照れてんの〜。バカは蒼くんでしょー!』



私は笑ってみせる。

照れたのかな。

意識したかな。