高校の制服に袖を通し左手には数珠を握る。 そう、今日はお兄ちゃんのお葬式。 お通夜は昨日のうちに身内だけで済ませた。 式の進行は静香さんが一人でしていた。 入れ替わり立ち替わりで親族が顔を出しては私を不憫そうに見ていた。 居た堪れないその視線に私は鈴音を連れて旅館の離れに建てられた小部屋で、お通夜が終わるのを待っていた。