私の前からお兄ちゃんが消えた。

痛いくらい胸にポッカリ空いた傷口は頰に伝わらない心でないているようで、傷口に滲みる。

いっそ、大声で泣ければどれ程楽になるのだろう。

誰もいない家に一人、私はアルバムを片手に眠りについた。

【正樹と夏帆】と描かれた題名のアルバムを開くのはもう私一人になっていた。