「…夏帆ちゃん…正樹ね、死んじゃった…」 手で顔を覆って私が居たことに気がついた静香さんは唇を噛み締めていた。 「お兄ちゃんが…」 嘘だよ…だって昨日まであんなに元気だったんだよ? あんなに心配してくれてたんだよ? 「パパおねんね?」 無邪気に笑う鈴音はお兄ちゃんの頰にペチペチと触れていた。 「…パパおねんね…だから…もうちょっとしたら起きるから…だから待ってよう…ね」 子供の前だから涙を堪えて話す静香さんに私の胸も締め付けられた。