大嫌いなあなた


「静香さんどうしたんですか?」

『…正樹がッ…正樹が…」

珍しい相手からの電話で少し戸惑っている。
だけど、静香さんの要件で私は戸惑いどころか動揺を隠せなかった。

電話越しでは静香さんが取り乱して号泣していた。

「…すぐ行きます…」

静香さんが待っているであろう場所へ駆け走った。

「夏帆ッッ!!」

心配そうに私の名前を呼ぶ花ちゃんを見ずに私はひたすら走った。