大嫌いなあなた


こんな些細な幸せが身にしみる。

すると左薬指に違和感を感じた。

「…え?」

開いた口が塞がらなかった。

「これって…」

左薬指にはキラキラ光る指輪。

まさか…ね?

「夏帆」

「はい」

「俺と結婚して下さい」

ああ、視界がぼやけて愛おしい人の顔が見えなくなる。

「はい!」

嬉しくて、嬉しくて、何度もその指輪を見つめた。

最初の出会いはあまり印象のいいものとは言えなくて、お兄ちゃんのこととか、好きだった人のお兄さんで、誰の子かもわからない人の子供を妊娠した私を愛してくれた。

最初は“大嫌いなあなた”だったけど、

「愛してます」

今は“愛しているあなた”に変わりました。