私は学校を辞めて引っ越しをした。

誰も知らない遠くの田舎へ。

学校を辞める事は安浦や大吾、花ちゃんには言わなかった。

言わない代わりに私は喧嘩をしてしまった。

寂しくて、怖くて、だけど傷つけたくなくて気づかれたくなくて。

「私、本当は安浦の事なんて好きじゃなかった。勘違いしてた。だからもうなんでもないから」

そういったあとに後悔した。

ああ、傷つけたんだって。

「ねえ大吾、私いつも大吾の事めんどくさいって思ってた。これは本当の事」

思ってたわけないじゃん。

面白くて大好きなんだから。

「花ちゃん、もう愛想尽きちゃった。金輪際会いたくないんだ」

大袈裟なくらい、嫌いになったことを話すと花ちゃんは私の目の前で崩れて泣いた。

花ちゃんの背中を摩る大吾を見て、花ちゃんには大吾も安浦もいるんだって実感して、安心した。

大事な人たちを捨てて、私は今日この街から居なくなる。