横を見ると、龍太さんが私にハンカチを貸してくれたのだ。
龍太さんってハンカチ持ち歩く人だったんだってびっくりして涙が引っ込んだ。
「あーあ、せっかくいい感じだったのに龍くんのせいで涙引っ込んじゃったじゃん」
「あーあ、組長のいけずー」
二人に攻められても動じない龍太さんは私を見て口角を少し上げた。
その姿が少し安浦に似ていて、心が締め付けられた。
「夏帆っち夏帆っち」
助っ席に座っていた先輩は首だけ私の方を向き、ヘラヘラとした顔で言った。
「誰も夏帆っちの事嫌いにならないから話してみてもいいんじゃない?」
ああ、私はきっと待ってたんだ。
この言葉を。
「本当に嫌いにならないですか」
俯きながらそう尋ねると、先輩と庵治さんは笑顔でもちろんって。
「話せよ」
ぶっきらぼうだけど話を聞いてくれる龍太さんに吹き出しそうになったことは内緒。


