「夏帆嬢早く乗って」
「あ、はい…、、え?」
運転席から顔を覗かせる庵治さんはいつも通り笑顔だった。
が、問題はその横。
つまり助っ席。
「よっ!」
「ちょ、なんでアンタが乗ってんの!?」
「おいおい、先輩に向かってアンタとは何だよ」
「………」
いやいやいやいや、ちょっと待てよ。
なんで安西先輩が庵治さんの横に乗ってくつろいでるの?
「夏帆っちわかってないって顔だね」
ニヤニヤと面白いオモチャでも見つけたように私を見て満足気な先輩に、全てを知っているという顔で私が乗り込むのを待っている庵治さんと龍太さん。
「わかるわけないじゃないですか!!」
車に乗り込み、後部座席から先輩に向かって声を上げる。
ってか知ってたらもうちょっと冷静だっつうの!!


