フルネームで名前を言ったので多分私が誰だかわかったのだろう。 『なんだ』 要件を早く済ませたいらしい龍太さんは早く要件を話せと促す。 私は一呼吸置いて静かに話し始めた。 「私の身内を知りませんか?」 『そんなの知ってどうすんだ』 聞いても無駄だと言わんばかりの呆れ声で話しを聞いてくれる龍太さんは多分寝起き。 声がカスッカスだもん。 「…あの」 本当のことを話して龍太さんは安浦に言わないだろうか。 知られたくない。