大嫌いなあなた


「ー…わかりました」

安浦には絶対に知られたくない。

散々悩んで出した答えはー…

「すみません、少し電話して来ます」

席を立ち、iPhoneを片手に診察室を出た。

外に出るとiPhoneを耳に当てて電話をかけた。

相手はツーコールで出た。

『誰だ』

電話先では不機嫌そうな声で威嚇をしてくる男の人。

ってか電話に出て第一声が誰だって。

そんなの…

「私だ」

そう答えるしかないじゃん。

『あ?』

その一言で不機嫌さに磨きがかかる。

「嘘です。広瀬夏帆です」

本当にすみません、調子こきました。