「本当?あ、私真紀子っていうの。あなたは何ちゃん?」
真紀子さんという女の人は優しく微笑んでくれた。
「夏帆です」
「そう、夏帆ちゃん。よろしくね」
差し出された白くて細い手を優しく握り返すと、看護師さんに名前を呼ばれた。
診察室に入ると、優しそうな女の人が腰かけていた。
「広瀬さん、今日はどうしたんですか?」
なぜか安心するような先生の微笑みに緊張していた心が少し溶けた気がした。
「2ヶ月生理がこないんです」
「どなたかとそういう行為をしたことは?」
「…あります」
「検査してみた?」
「いえ…まだです」
検査とは、妊娠検査薬したかということらしい。
それから私は検査を受けて待合室に戻ったがもう真紀子さんの姿はなかった。