大嫌いなあなた


「なあヤス、夏帆。俺ら頼りないか?」

寂しそうに私を見る大吾を初めて見た。

こんな顔をさせているのは間違いなく私達なんだ。

「そんな事ない…」

そういうのが今の私には精一杯だった。

「なあヤス」

私から目を逸らした大吾は安浦をしっかりと見据えていた。

「覚えてるか?小学2年の夏の事」

「…ああ」

「俺の母親が死んで、毎日泣いていた時にお前言ったよな?“俺がいるから”って」

「ああ」