大嫌いなあなた


「助けて」

小さな声は薄暗い部屋にかき消された。

消えてしまった言葉は誰にも拾われることは無かった。

苦しくて、辛くて、泣きたいけど、ぐっと堪えて唇を噛み締めた。

もう、辞めよう。

縋り付き、安浦を苦しめるのは辞めよう。

そう決心した私には迷いはなかった。