大嫌いなあなた


「夏帆!」

鍵を閉めた扉の向こうでドンドンと扉を叩く音が響く。

「明日…来るよな?」

「っ……」

最低な言葉を投げかけた私の心配をしてくれるなんてどこまで優しいんだろう。

「待ってるから」

絶対来いよ、そう付け加えた。

暗い暗い夜道に安浦と龍太さんは消えていった。

「…ごめんなさい」

こんなに苦しくなったのは初めてだった。

お兄ちゃんがいなくなってからだって、私はこんなに泣けなかったと思う。