「それは…無理です」

だけど、私にはそんなの無理だった。

「あ?」

私の返答が気に入らなかったのか、睨む目をさらに尖ったナイフのようにした龍太さん。

「だって…学校で会うじゃないですか」

そう、何を血迷ったことを言ってるんだ。

安浦は隣のクラスで、どう頑張ったって廊下ですれ違うだろうし会わない事なんて不可能
だろう。

だけど、龍太さんはやはり顔色を変えずに一言。

「今月いっぱいで辞めさせる」

元々そういう約束だ、と淡々と話す龍太さんに苛立ちさえ覚えた。