『…ぁ…ぁぁ…』

一度ならず二度までも私の前で辰治さんが死んだ。

『犯罪者が…』

そう呟いて辰治さんは血を流して倒れこんだ。

『夏帆』

バッとテレビの画面が変わったように暗い闇から白い花畑へと景色が変わった。

『お兄ちゃん!』

花に囲まれ優しく微笑むお兄ちゃん。

『夏帆、行こう』

『どこへ?』

そう尋ねれば首を振る。

『行こう』

そう言ってお兄ちゃんが指差す方へ目を向ければー…

大きな川。

船に乗せられる人たち。

きっとあれに乗っちゃいけない。
直感でそう思った。