私は“ここ”にいて大丈夫なのか。

私はなにも知らなかった。

ヤクザの世界ではこんなのは日常茶飯事なんだって事。

「夏帆嬢、ここから出ましょう」

庵治さんは会った時と同じように口角を上げ腰をかがめて話しかけてくれた。

だけどそんな庵治さんでさえも怖くて、震える身体をさらに強く抱きしめた。